臨牀透析に栄養部の研究が掲載されました。

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臨牀透析 VOL.25 No.10の臨床研究にに栄養部の研究が掲載されました 。

~ ~ 要約 ~ ~

○新井和恵 土川由緒里 大盛千恵 奥田康輔
血液透析患者の便秘における食物繊維食品(ケイロックス)の有効性に関する検討

<はじめに>
血液透析(HD)患者において、便秘の有病率が高いことは周知である。その原因として日常的に水分摂取が制限されていること、カリウム制限の為に、野菜類が十分に摂取出来ず、食事中からの食物繊維摂取が不足になりやすいことが挙げられる。また、リン吸着剤である塩酸セベラマーやカリウム吸着剤などの薬剤との関連も要因として挙げられる。
今回我々は、HD患者の便秘の原因として重要な位置を占める食物繊維に注目し、水溶性難消化性食物繊維を大量に含む(株)ケイロン・ジャパン製造のケイロックスを用い、便秘を有するHD患者に摂取させ、その有効性を検討した。
ケイロックスは水溶性難消化性食物繊維で、1枚当たり、食物繊維量は9.38gと多量に含まれている。

<対象及び方法>
対象は、当院で通院HDを受けている患者113名で、男性55名、女性58名、平均年齢63.4±9.5歳、平均透析歴12.5±10.2年にRome Ⅱ modularアンケートを実施、また下剤服用状況を調査した。
アンケートにて機能性便秘と判定された患者、及び定期的に下剤を服用している患者を便秘群と定義し、便秘の有無を判定した。これらの患者に対し、便秘と、年齢、性別、透析歴、内服薬、原疾患との関係について重回帰分析を行い検討した。
また、便秘群の中で、ケイロックスの摂取に同意が得られた患者9名うち男性5名、女性4名平均年齢64.9±7.8歳、平均透析歴15.2±8.2年において、食事調査による食物繊維摂取量を調査した。
その後ケイロックスを1日2枚、2週間摂取してもらい、摂取前と摂取後の2回、Rome Ⅱ integrativeアンケート(簡略版)を行い、便秘の重症度をスコア化し判定した。
また、摂取前後で便量、便の硬さ、便秘スコアの改善度、BUN値の変化、下剤量の変化を検討した。

<まとめ>
通院透析患者で、便秘と診断された患者は113名中79名で、全体の69.9%と多数認めた。
重回帰分析においては、加齢のみが独立した便秘の危険因子だった。
便秘スコアは、ケイロックス?摂取前後で、9.1±5.2→3.3±3.2と有意に改善した。
ケイロックスはHD患者の便秘改善に有効であった。

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当院では便秘改善の為にケイロックスを使用しています。
便秘でお悩みの方はご相談下さい。