第59回 日本透析医学会学術集会に参加しました。

第59回日本透析医学会学術集会が、6月13日(金)~15日(日)の3日間、兵庫県神戸市で開催されました。全体の参加者が18000名で、とても盛況な学会でした。当院からは9名参加して2演題発表しました。
発表後、全員神戸市内で夕食をとり、その後神戸市内を一望出来るビーナスブリッチという小高い観光名所に行き神戸市の夜景に感動致しました。
今回の学会参加で得た情報を今後の透析医療に反映させていこうと思います。

20140613

① 栃木県透析医会における震災対策の現状
奥田 康輔:1、新井 美明:1、安藤 康宏:2
1:奥田クリニック、2:自治医科大学附属病院 透析部

2011年の東日本大震災の際には、栃木県でも多くの施設が透析不能に陥った。同年に行った震災後の県内透析施設のアンケート調査にて、赤塚が提唱する4つの地震対策の遵守状況と機器の損壊との関係を調べたところ、遵守していない施設で機器の損壊が多かったことから、対策の重要性を呼びかけてきた。2013年6月の日本透析医会災害時情報ネットワーク会議での赤塚の報告によると、4つの地震対策の遵守率が高い宮城県では、震度が大きかったにも拘らず、他県と比較して機械の損壊率が低く対策の有効性が示唆された。これを受け栃木県の調査結果を分析し直したところ、宮城県と比べて遵守率が低く震度が小さかったにも拘らず機器の損壊率が高かったことが分かった。本年8月に改めて4つの地震対策の遵守率を調べたところ、震災時より遵守率は改善されていたものの、4つの対策のうち「RO装置、供給装置の壁面へのアンカーボルト固定」の遵守率は震災前27%→震災後42%とまだまだ改善の余地があり、引き続き対策の徹底を呼びかける必要があることが判明した。

② 当院におけるエポエチンκの使用経験
古澤 洋一:1、中野 紗希:1、高橋 梓:1、高橋 秀明:1、奥田 康輔:1
1:奥田クリニック

【目的】従来ESA製剤からエポエチンκ(Bs)切替えによる検討.
【方法】当院維持透析患者でエポエチンβ(EPO)使用群49名、ダルべポエチンα(DA)使用群11名をBsに切替え1年間毎の切替え前後を調査した。目標Hb値を10.0~11.5g/dLとし、投与薬剤を適宜増減した。検討項目はHb値、ESA投与量、鉄代謝関連検査とした。切替え効果は1年毎平均ESA投与量で比較し、EPOは同単位量で、DAは2010年当会報告済みEPO→DA変更時の換算比1:258を用いた。対象はEPO継続群14名.統計でp<0.05を有意差有りとした。
【結果】Bs切替えでHb値に有意差はなかったがESA投与量はEPO:3950→Bs:4543U/w:p<0.001、DA換算値:3369→Bs:4253U/w:p<0.01と有意に増加した。対象EPO継続群1年前後EPO投与量(4014→4179 U/w:ns)に変化はなし。切替え効果はEPOの力価を1倍に対しBsはEPO切替え群0.87倍、DA切替え群0.79倍でDAの平均換算比は1:325であった。また薬価ベースではBs切替えでコストダウンが図れた。
【結論】後発品Bsは、従来品ESA(EPO・DA)と比較し、Hb値を維持するため、ESA投薬量増加の必要性が示唆された。