第37回 栃木県透析医学会 学術集会に参加しました。

9/20(土)、独協医科大学で開催された、栃木県透析医学会 学術集会に参加しました。
奥田クリニックからは「当院のVA(Vasucular access)管理におけるエコー検査について」の演題を発表し、優秀演題賞を受賞することができました。今後はVA管理にエコー検査を十分活用し、当院の理念であります、患者様に安心安全な医療を提供して行きたいと思います。

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当院のVA(Vascular access)管理におけるエコー検査について

(医)開生会 奥田クリニック
○古澤洋一(フルサワヨウイチ、臨床検査技師)、
中野紗希、高橋 梓、井上靖宏、岩波沙織、歌田智也、田崎浩孝、
越井正太郎、古沢幸男、村山 勉、一杉政弘、新井美明、高橋秀明、奥田康輔

【目的】当院でのVA管理は基本的に視診、触診、聴診等の理学所見を用いている。今回、エコー下での上腕動脈血流量(Volume flow以下VF)、血管抵抗指数(Resistance Index以下RI)を測定し、これら機能評価がVA管理に繋がるか検討した。

【方法】2013年6月から1年間でVAのエコー機能評価を実施した当院維持透析患者様46名(男性25名、女性21名)を対象とし、PTA群(再PTA重複あり48症例)と経過観察群(22症例)に分け、春口ら報告の脱血不良とVF,RI関連研究の基準値を参考に解析した。また当院1年間でVAが閉塞し再造設した症例も同様に解析した。

【結果】①VAの狭窄が推測される値(VF:500ml/min未満,RI:0.6以上)はPTA群でVF:36/48症例(75%)RI:32/48症例(66.7%)だった。そのうち、再PTAになった17症例中15例がこの基準に該当していた。経過観察群ではVF:7/22症例(31.8%)RI:3/22症例(13.6%)が該当し、その中で1~2か月以内にPTAが3例、VA再造設が1例あった。②この1年間で、VA閉塞のため再造設したのは12件あったが、そのうちエコーを行っていたのは5例で5例とも上記基準に該当していた。

【考察・結論】PTAに至った症例の多くでVF,RIはVA狭窄が推測される基準範囲にあった。VA閉塞で再造設した症例も同様で、PTA早期治療介入の必要性が示唆された。理学所見は主観的で曖昧さがあり、エコーを行わず、突然シャント閉塞した症例もまだ目立つため、今後は客観的評価によるVF,RIをスクリーニング的に測定し、突然のVA閉塞に備えることが必要と思われる。